うつで休職した話

体調と治療の記録

批判への対処法

私は元来のんびり屋だが、ここ2〜3年、昔に比べ喧嘩っ早くなった気がしていた。結婚してから旦那から色んな事を言われるし、会社の上司の指導にも歯向かう思考がどんどん浮かんでくるようになった。プライドが高くなった?感情的になってしまっている?もっと円満にやりたいのに・・けど止められない。

怒りに駆られると、心臓の鼓動は早くなるし夜遅くでも頭は冴えちゃうし。怒りが溜まって自分の精神を疲れさせていた自覚はある。

批判への対処法もバーンズ先生の著書にあり、効果もあったので紹介する。

 

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私たちは批判された時、ある否定的な考えが自動的に頭に浮かんでくる。

感情はこれらの自分の考えに反応しているのであって、他人の言った事に反応しているのではない。

     

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そして、心を動揺させる考えは必ず「一般化のしすぎ」「全か無かの思考」「心のフィルター」「レッテル貼り」等のような認知の歪みがある。

*認知の歪みのパターンについては過去記事へ

souplino.hatenablog.com

souplino.hatenablog.com

例えば私の場合、旦那が私がやった事が気に入らないと「いい加減にしてくれよ」的なことをたまに言う。そうすると、

(そっちがやらないから私がやってるのに。こっちだって体調しんどいのに。私がやって当然みたいな。末っ子思考だよね。しかもいっつもそっちから嫌味言ってきて喧嘩になるよね。感情的にならずにもっと建設的な会話してよね。)

という心の声が出てくる。

心の声にある思考の歪みは、一般化のしすぎ、すべき思考、レッテル貼り、、、なるほど確かに。これは修正していく必要がある。

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批判されると嫌な理由は他にも色々ある。

自分が満足するために他人の愛情や賞賛に頼っているなら、批判されるのは怖い事かもしれない。でもそれは、自分の全エネルギーを人を喜ばせる事に向ける事になり、自分の想像的で生産的な暮らしのための余力が無くなる。その結果、逆につならない人間だと思われてしまうかもしれない。

また、批判されるとついつい自己防衛のため反発したり、自信をなくしたりしがちだ。

受けた批判についてはどう対処すればいいのか。誰かに批判された時、どう言い返し、難しい状況で優越感や自信を高めていくためにはどうしたらいいのか。

 

 

まず、批判された時の選択肢には3つある。

  1. そこにとどまって言い返す …たいてい言い争いになりお互いに傷つく
  2. 逃げたり攻撃の矢をかわそうとする …恥をかくことになるし面目も失う
  3. その場に留まってうまく相手を無力化する …上の2つに比べ断然満足出来る。相手も自分が勝ったとは思わなくなる。

この3つ目の選択肢「相手を無力化する」に持ち込むことができれば良い。

そのためには3つのステップがある。 

 

第1ステップ 共感

批判する人が言うことは、正しいのか間違っているのか、またはその中間のどこかにある。相手が何にイライラしているのか、質問し理解する。

「私のどこに腹を立てているの?はっきり言って欲しい。」

相手が言った事に対しては

「なるほど、〜の行動に対して〜感じていたのね。他にはある?」

と相手が感ていることを正確に理解できるように質問していく。そうすることで、全面的に拒絶される事を回避する。この時、価値判断を挟まないようにする。

 

第2ステップ 批判の武装解除

相手が言っている内容がナンセンスだと思っても、その批判の中に「原則的に」共感できるものを探す。

気を付けることは3つ。

  1. 言われたことには何であれ、何らかの方法で共感する
  2. 嫌味や弁護は避ける
  3. 常に真実を話す

例として、私が家の水回りコーティングをどこの業者でやるか調べまくっていることに、旦那がうんざりしていた時のことを。 

旦那「本当に分からんわ、、もう、、」 (意訳:いい加減にしてくれよ)

私「そうだよね、私もやりすぎだって思ってる。」

旦那「うんざりするわ、もう。でも、こだわりたいんでしょ。はいはい勝手にどうぞ。」

私「私もささっと決めたいんだけど、、旦那くんを煩わせちゃってるよね。せっかく旦那くんも業者に見積もりお願いしてくれたりしたのにね。私がやり出したから時間がかかってるね。」

旦那「もっと早くから俺がちゃんとやっとけばよかったわ。」

私「そしたらもっと早い時期に決められたかもしれないね。」

相手が批判している私の行動を理解し、気持ちに共感していく。この段階で、相手の中で燃えていた批判はたいてい熱を失う。こちらが同調することで、相手は攻撃の矢が尽きてしまい、無力になる。批判が鎮静するにつれて、相手も対話しやすい良い気分になっていく。

 でもここで、こんな心の声が聞こえてくる。

(なんて嫌味な言い方なの!「俺がちゃんとやっとけば良かった」って?いっつも自発的にはやらないくせに。しかも”ちゃんと”って何だし!私がちゃんとやってないってか。私だって、時間費やしてコーティングの性能とコスパを比較検討して結構しっかり考えてるのに。)

こんな風に思うのは、責められた時に、自分自身を心底から守らずにはとてもいられない傾向があるからだ。自分は正しい、相手が間違っていると知らしめたいのだ。

これが”誤りの根源だ”と、バーンズ先生は言っている。”皮肉なことに、自分を守るごとにその人の兵器庫に自分で弾を補充することになる”と。

敵対者からの批判を強めるような反応をして全面戦争するのではなく、相手の言っていることを理解して共感すれば、敵対者はこちらが敬意を払ってくれているように感じ、落ち着いていく。

  

第三段階 フィードバックと交渉

相手が武装を解いたら、自分の立場と感情を手際よくはっきり説明できる立場に立てる。

私「とりあえず今回は、来週中にはどこの業者に依頼するか決めたいよね。見積もり依頼してるところもあるから、あと2〜3社見積もりが来たら性能とコスパを比較してみるから、また相談するね。」

旦那「分かった。来週には絶対決めよう。」

こうして一件落着。今後は文句を言われず、私は納得いくまで業者選定ができる。

仮に相手の言っていることが明らかに間違っている事実に基づき批判してたとしても、「勘違いだよ!こうだし!」と跳ね除けるのではなく、こう言う。

「私が勘違いしていたのかも。旦那くんの言っていることは私の記憶とは違っていて、、実際どっちだったかはっきりしないよね。お互いに間違えることもあるから、面倒だけど念のため〜を確認してもらえない?」

 

 

自分こそ正しいのだという怒りの感情を表せば、一時的にはスッキリするかもしれない。でも、いくら自分の正当性を主張し、相手をちっぽけな奴だと思い知らせようとしても、残念ながら相手も自分が正しいと思っているのでそれを認めない。こうした積み重ねで、長い目で見れば人間関係が壊れてしまいかねない。感情の爆発は結局自分に損になる。

批判は、まずは「この批判の中に少しでも真実があるのではないか」という姿勢で受け止めよう。相手の批判内容を正確に理解し、共感を示し、武装解除してもらう。

妥協が必要なら交渉し、自分が間違っていたらそれを認め、批判が間違っていたら簡潔に指摘する。

ここで大切なのは、自分の行動が正しかろうが間違っていようが、人間としては正しいということ。

批判は、自分の価値が問題なのではない。自分の行動に対して相手が抱いた感情が問題になっているのだ。

だから、批判されることは怖くない。

批判を認めても、自分の価値が下がる訳ではないから。

自分への信頼を持って、少なくとも持っているように振る舞おう。そしたらだんだん染み付いてくるものだろう。

 

David D, Burns (2013) いやな気分よ、さようなら コンパクト版 132-150