うつで休職した話

体調と治療の記録

抗うつ剤との付き合い方

私が服用した抗うつ剤サインバルタ

うつ状態の人の、意欲・気力の改善を期待して使われることが多い。

脳内の神経伝達物質である、セロトニンノルアドレナリンセロトニンとは不安を和らげる幸せホルモンで、ノルアドレナリンは意欲を高める。これらの脳内の濃度を高めるとされている。

もちろん医師の指導のもと服用したのだが、飲み始める時、色々な反対意見を耳にした。

躁鬱病の人の場合は逆に症状を助長する。躁鬱病うつ病とは判断が難しく、うつだと思っていた人が躁鬱の場合もある。」

「薬が手放せない体になってしまう」

統合失調症の原因になる」

など。根拠は不明だが心配にはなったので調べてみた。

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まず、躁鬱病を助長する話だが、調べてみると確かに”気分の波がある人には煽ってしまうリスクがあるので、落ち込みのみが目立つ人に使われることが多い”、”同じ理由で、若い人にも使いにくさがある”とあった。*1

そこで自分が躁状態になる時があるのかどうか観察したが、あくまで主観だが意欲・気力低下のみが目立つと判断した。そして30代とまあ若くはないし大丈夫だろう。

薬が手放せない体になってしまうというのは、サインバルタ神経伝達物質の再取り込みに作用する以上、体が薬に慣れてしまうのは仕方ないだろう。だから、あんまり長くは服用しないようにしようと思った。

統合失調症の原因になる、とは人から言われたことだが、調べても根拠は分からなかった。

そして服用することにしたのだが、だいぶ序盤でつまづいた。

副作用が堪え難かったのだ。

私に出た副作用は以下。

  • めまい
  • 頭痛
  • 目の奥の痛み
  • 加えて、抗うつ剤を飲み始めるという恐怖感

 

ちなみに、断薬時の副作用(離脱症状)のほうが壮絶だった。

  • 頭を動かすと、頭の中がぐわんとなる

  (ネットを見ると、頭がシャンシャンすると形容する人が多い)

  • 体がビリビリする

この2つを合わせて「シャンビリ」と言われているらしい。シャンシャンとビリビリでシャンビリ

経験者はお分かりいただけるだろうが、このシャンビリが本当に辛い。私は1ヶ月ちょっと続いた。これについては後半で。まずは服用し始めのことについて記す。

 

抗うつ剤の副作用がどう出るかどうかは体質による。私は普段から薬はあまり合わないタイプだ。

サインバルタはカプセル錠で20ミリ、30ミリのものがある。

最初は20ミリから飲み始め、効果的だと言われている40ミリまで増やすのだが、20ミリに慣れる壁が一番高かった。飲んだ翌朝、めまいと頭痛がひどかった。それでも我慢して3日くらい続けた翌朝、起きたら目が取れそうな程痛かった。目の奥から湧いてくる痛みに耐えられず目を開けてられなかった。

他の薬に替えて欲しいと訴え替えてもらったが、そっちの副作用のほうがキツかった。その時のことはこちら。

souplino.hatenablog.com

 

サインバルタとうまく付き合う方法を模索した。

普段は、慣れない薬を飲むときは半分飲んでみて、何も無ければもう半分を飲む。しかしサインバルタはカプセルなのでそうもいかない。なんでカプセルの分量は20ミリからなんだ。30ミリを作るくらいなら、10ミリを作ってくれた方が、組み合わせで30ミリにもできるし、服用し始めも断薬時も柔軟に使えるのに!何度もカプセルを切れたらと思った。

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量で調節できないので、間隔で調整した。副作用が辛い時は、無理せず副作用がおさまるのを待ってからまた飲み始めた。

すると不思議なもので、2週間ほどするとだんだん体がサインバルタ20ミリを受け入れるようになった。

今思えば2週間ぽっちだが、薬の飲み始めは、”脳内”神経伝達物質をコントロールという”脳”に作用する薬を飲む恐怖感と得体の知れない副作用で、精神的にキツかった。

しかし20ミリに慣れてしまえば、30ミリ、40ミリへ増量する時はそれほど苦しまずに済んだ。だが、脳内の神経伝達物質の取り込みをコントロールしていることへの恐怖感はあった。

 

 

そして、3か月して少しずつ活動意欲が湧いてきた頃、妊活したいと医師に打ち明けた。年齢的に妊活にも焦りがあったし、薬を長期服用しないほうがいいとも思った。

医師は、そう思えるようになった事を前向きに捉えてくれ、妊婦パワーで元気になることもあるからと、妊活をサポートしてくれた。そして、妊活とサインバルタについてのいくつか情報を提示してくれた。良い面と悪い面、同じだけ話してくれた。

  • サインバルタによる胎児への影響は医学的には明確に確認されていない。
  • 一般的には症状が良くなった後も1年間服用を続けた方が、うつの再発率は低い
  • だいぶ回復はしてきているので、今薬をやめることで大きく症状が崩れることは無いとは思われるが、断薬後も通院は必要。
  • 妊娠期間中は口にするものを通して胎児に影響が出ないかとストレスを抱える可能性はある。薬以外ではなくサプリであっても、心配になるなら止めておいた方が安心、という考えもある。

断薬するかどうかは私に決めさせてくれた。

 

そして、私は1か月かけ徐々に断薬する道を選んだ。

 

まず1〜2週間かけ薬の量を40ミリから20ミリへ徐々に減らし、次に飲む間隔を長くし、そして全く飲まなくした。

完全に断薬して2日目あたりからシャンビリがひどくなり、動けなかった。医師に相談すると、「1週間経った頃から症状が改善していくことが多いから、もう少し頑張ってみましょう」と背中を押してくれた。

断薬中は、イライラして旦那に当たってしまうこともあった。脳内のセロトニンの量が減って、不安感が大きくなっているんだろう、と思った。離脱症状はすぐ治らなかったので、サインバルタの作用やシャンビリについて詳しく旦那に説明した。私の抱えている不安感も全部話し、「自分で脳内の幸せホルモンを出せるようになるために、この断薬を乗り越えたいから協力して欲しい」と、自分だけで抱えていると、余計に旦那が理解してくれていないと感じてしまうので、意識して甘えるようにした。そしたら旦那も優しくしてくれた。と、思う。言い尽くされてきたことだが、夫婦間でも言わないと伝わらないものである。

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その後も2週間経っても離脱症状は良くならず、3週間してようやく徐々に改善し、完全にシャンビリが気にならなくなるまでには1ヶ月ちょっとかかった。これは結構長い方らしい。

断薬時のシャンビリの副作用は医学的には証明されていないらしいが、それでも多くの経験者がいるようだ。座っているだけでも、首から下の至る所がビリビリ痺れてくる。ちょっとでも頭を動かすと「ぐわん」となる。これ、かなりしんどい。そして、いつ治るのだろう、という先が見えない不安感が追いかけてくる。 

でも、いつかは断薬の苦しみは乗り越えなければならないのだ。それに私は妊活したかったし、薬の長期服用はかえってストレスだった。断薬を乗り越えたい、と思えるようになった事は、きっと回復のステップと信じた。

私は、これからは薬なしでうつと付き合っていく。

 

この記事のことは、あくまで私の例で医師の指導のもと行ったこと。断薬は医師と相談しながらが安心安全だ。